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名古屋地方裁判所 昭和63年(ワ)2711号 判決 1992年12月21日

東京都千代田区外神田四丁目七番二号

両事件原告

株式会社佐竹製作所

右代表者代表取締役

佐竹利彦 (以下「原告会社」という。)

広島県東広島市西条西本町二番三八号

二七一一号事件原告

佐竹利彦 (以下「原告佐竹」という。)

右両名訴訟代理人弁護士

池田昭

名古屋市熱田区三本松町一番一号

被告

日本車輌製造株式会社

右代表者代表取締役

篠原治

右訴訟代理人弁護士

富岡健一

右訴訟復代理人弁護士

瀬古賢二

主文

原告らの請求をいずれも棄却する。

訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一  申立て

一  被告は、別紙物件目録記載の籾撰別機NRS-七型(以下「被告製品」という。)を製造し、譲渡し又は譲渡若しくは貸渡しのために展示してはならない。

二  被告は、被告製品及びその半製品(成型工程を完了するも組立工程を完了するに至らないもの)を廃棄せよ。

三  被告は、原告会社に対し金四一万0八00円、及び原告佐竹に対し金一一一万八四00円、並びに右各金員に対する昭和六三年九月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

四  第三項につき仮執行の宣言。

第二  事案の概要

本件は、原告らが特許権に基づいて被告製品の製造販売等の差止め及び廃棄並びに損害賠償及び遅延損害金(起算日・訴状送達の日の翌日)の支払を求めた事案である。

一  争いのない事実等

1  原告らの特許権

(一) 甲特許権

(1) 原告会社と原告佐竹は、次の特許権(以下「甲特許権」といい、その発明を「甲発明」という。)を共有している。

発明の名称 揺動撰穀装置における縦傾斜自動調節装置

出願日 昭和四八年一月二四日

出願公告日 昭和五0年六月二0日

登録日 昭和五一年二月二七日

登録番号 第八0五七二九号

共有登録日 昭和六一年三月二四日

特許請求の範囲 別紙特許公報(一)(甲一。以下「甲公報」という。)の該当欄記載のとおり

(2) 甲発明の構成要件を分説すれば、次のとおりである。

A 撰別盤1の盤面を粗雑面となし、一方を供給側H、他側を排出側Lとして、穀物は供給側Hから排出側Lに流動するようにし、かつ、該盤1に穀物の流動方向と交差する方向の斜上下の往復揺動を与えて異種混合穀粒を分離偏流排出するようにした揺動撰穀装置において、

B 該撰別盤1には縦の傾斜角βを調節しうる調節装置6を取付け、

C また、前記撰別盤1には、盤面分布状態を検知し、かつ、前記調節装置6に信号を送る検知装置5を設け、

D 前記調節装置6と前記検知装置5とを関連的に結合して撰別盤1の縦の傾斜角βを自動的に調節しうるごとく構成した、

E 揺動撰穀装置における縦傾斜自動調節装置。

(3) 甲発明の効果

簡単な装置によって撰別盤1の縦の傾きを自動的に調節しうる(甲公報、弁論の全趣旨)

(二) 乙特許権

(1) 原告会社は、次の特許権(以下「乙特許権」といい、その発明を「乙発明」という。)を有している。

発明の名称 撰別機

出願日 昭和三四年二月三日

出願公告日 昭和五七年二月二三日

登録日 昭和六0年一一月二九日

登録番号 第三二0二七四号

特許請求の範囲 別紙特許公報(二)(二七一二号事件の甲一。以下「乙公報」という。)の該当欄記載のとおり(ただし、特願昭三四-三四六八号により分割された後のもの)

(2) 乙発明の構成要件を分説すれば、次のとおりである。

A 一方側を供給側Hとし、供給側Hに対する反対側他方を排出側Lとし、供給側Hを高く、かつ排出側Lを低く配置することにより、供給側Hより排出側Lに向かって異種混合穀物粒が徐々に流動するように構成した粗雑面よりなる無孔の撰別盤1に、

B 穀物粒の前記流動する方向に対して左右側の方向に斜上下の往復動を与えると共に

C その揺上側に側壁を設け、

D もって、撰別盤1上の混合粒のうち、比重の大なる穀物粒を揺上側H1方向に隆積させ、比重の小なる穀物はその反動で反対側に偏流させて分離させるようにしたものにおいて、

E 前記無孔の撰別機1を複数段多段状に重架させてなる撰別機。

(3) 乙発明の作用(乙公報、弁論の全趣旨)

<1> 撰別盤1を矢印Wのごとく左右側の方向に斜め上下に往復動させる。

<2> 籾粒と玄米粒の混合粒を各段の撰別盤1の供給側Hに均等に供給する。

<3>供給された混合粒は、無孔の粗雑面よりなるその盤面上で斜め上下の往復動を受けることによって、第一次現象として、その混合粒のうち比重の大きい玄米粒が下層に沈下し、比重の小さい籾粒が玄米粒の上層に浮上し、第二次現象として、下層に沈下した玄米粒が側壁3方向に揺り寄せられて揺上側H1方向に隆積し、上層に浮上した籾粒がその反動で反対側に偏流し、玄米粒と籾粒とに分離されながら排出側L方向に流動する。

<4>すなわち、玄米粒は供給側Hから揺上側方向を流動して排出側Lに排出され、籾粒は供給側Hから揺下側方向を流動して排出側Lに排出され、中間粒は供給側Hから揺上側と揺下側との中間を流動して排出側Lに排出される。

(4) 乙発明の効果(乙公報、弁論の全趣旨)

<1> 玄米粒に対する砕粒等の特殊な混合穀粒でも高精度の撰別ができ、撰別過程において目詰りや散流を生ぜず、安定した撰別ができる。

<2> 単一段の無孔撰別盤では得られない高能率の撰別が得られる。

<3> 撰別盤1の下部に通風装置を設ける必要がないことから、各撰別盤間の距離が短くなり全体の高さが低くでき、振動に対する安定性が付与され、加えて構造が簡単となって重量も小さくて済む。

2  被告の行為

被告は、被告製品を製造販売している。

二  争点に関する当事者の主張

1  被告製品は甲発明の技術的範囲に属するか。

(一) 原告ら

(1) 構成要件Aについて

構成要件Aの「穀物は供給側Hから排出側Lに流動する」とは、撰別盤が斜上下方向に揺動している状態の下において穀物が流動することを意味し、また、「粗雑面」は、撰別盤の上向き行程において下層に沈下した穀物粒を支持して撰別盤の動きに追随させることをその本来の機能とするものであるから、これを形成する凹凸の形状も、粗雑面に右機能を果すための摩擦抵抗等を与え、かつ、撰別盤が下向き行程に復する際の右穀物粒の離脱を妨げないような形状であれば足り、それ以上格別の構成を要するものではない。

被告製品においては、撰別盤1の揺動状態において穀物が供給側Hから排出側Lに流動し、かつ、被告製品の撰別盤1は、その大部分に壺穴24が千鳥状に多数整列されていて、右の意味における粗雑面を有しており、その他の要件をも満たしているのであるから、被告製品は構成要件Aを充足する。

なお、被告は、別件発明(特公昭三五-一四四六八号)についての審決取消請求事件(東京高裁昭和三九年行ケ第二号)における原告佐竹の陳述を云々するが、右陳述は、甲発明とは全く異なる発明の要旨の限定に関するものであるから、甲発明の技術的範囲の解釈に影響を及ぼすものではない。

(2) 構成要件BないしDについて

被告製品の別紙物件目録三8記載の構造は、構成要件BないしDを充足する。

なお、特許請求の範囲の文言自体では明確でない構成要件について、実施例その他明細書の記載を参照して技術的範囲を実質的に把握し、発明の範囲を限定することは認められるが、その記載のとおりの内容のものとして限定して解さなければならないものではない。そして、右文言自体の解釈は、出願当時における周知技術とか当業者の常識を踏まえた上でこれを行うべきものであるところ、甲特許請求の範囲に記載した構成要件BないしDの「調節装置」、「検知装置」、「盤面分布状態の検知」との構成については、出願当時の周知技術に鑑みれば、課題の提示にすぎないということができないのはもちろんのことであり、また、甲公報の実施例等の記載でその具体的な構成を十分開示しているのである。すなわち、公知文献及び甲発明の明細書の記載を参照すれば、「盤面分布状態を検知し」とは、盤面上に現われる穀物層の有無、量的な多寡の状態を検知するものと解され、また、「信号を送る」とは、角度調節の動力源たる正逆転モーターを作動させるに必要なオン・オフの電気信号を送ることを意味するものであり、更に、「前記調節装置6と前記検知装置5とを関連的に結合して」とは、検知装置により盤面上に現われる穀物層の有無、量的な多寡の状態を感知した結果を角度調節の動力源たる正逆転モーターを作動させるに必要なオン・オフの電気信号に変えて送ることを意味し、「撰別盤1の縦の傾斜角βを自動的に調節しうるようにした」とは、検知装置より送られたオン・オフの電気信号により正逆転モーターを正回転若しくは逆回転させることによって撰別盤の傾斜角βを自動的に調節することを意味する。なお、穀粒の盤面分布状態の検知手段としては出願当時光学式及び機械式といった手段が考えられたが、その構成を特許請求の範囲において具体的に記載することは極めて困難であるので、「検知装置」といった上位概念で表現したものであり、「検知装置」は課題の提示ではない。

被告は、「検知装置」により籾米の量を検知すると主張するが、特許請求の範囲の記載のどこにも「籾米の量を検知する」とは記載されていない上、「盤面分布状態を検知」するとは、穀物の有無だけでなくその層嵩も含むものを検知することを意味すると理解すべきであるから、検知装置が排出側L付近に設けられることが必須要件であるということにはならない。

(3) 構成要件Eについて

被告製品は、揺動撰穀装置における縦傾斜自動調節装置であるから、構成要件Eを充足する。

(二) 被告

(1) 構成要件Aについて

甲発明の撰別盤は、静止状態にある場合にこれに穀物を供給すると、穀物が供給側から排出側に向かって重力の作用で自然流動するような構成になっていることが必要であり、また、「粗雑面」とは、穀粒に対し流動摩擦抵抗を生じるようにザラザラしており、その凹凸の程度は、撰別しようとする穀粒より大きいものではなく、かつ、方向性を有しないものであって、その流動摩擦抵抗の程度は、H-L方向に傾斜させた静止状態の撰別盤に穀粒を供給したときには、傾斜下方に徐々に流動し、撰別盤に左右側の方向に斜め上下の往復動を与えたときには、揺下側には滑り止められ流動しないものを意味する。

被告製品の撰別盤は、H-L方向に一0度0四分の傾斜を持って固定されており、U-D方向にも最小でも一四度四三分傾斜しているが、穀物は右傾斜によって自然流動しないし、また、被告製品の壺穴は、ザラザラしたものではなく、かつ、穀粒二粒が入る大きさであり、その端面は揺り上げ方向に向き方向性を有しているので、被告製品は構成要件Aを充足しない。

なお、甲発明は別件発明を改良したものであるところ、原告佐竹は、前記審決取消請求事件において、「本願発明の撰粒盤の表面には、縦振動により米粒を斜上に揺り上げるときの滑り止めに必要な流動摩擦抵抗を生じるようにザラザラした粗雑面が形成されており、その凹凸の程度は、撰別しようとする穀粒より大きなものではなく、かつ、方向性を有しないものである。……凹凸があるものはすべて粗雑面であるというような議論は、発明の本質を全く考えないものである。」と陳述しており、本件において、右陳述と異なる主張をすることは禁反言の法理に反する。

(2) 構成要件BないしDについて

構成要件BないしDの「盤面分布状態を検知し、かつ前記調節装置6に信号を送る」、「前記調節装置6と前記検知装置5とを関連的に結合して撰別盤1の縦の傾斜角βを自動的に調節しうるごとくする」等という表現は、極めて抽象的で単なる課題の提示にすぎず、右各手段が具体的にいかなる中間的機構を有すれば盤面分布状態を検知し信号を送るという動作と縦の傾斜角βを自動的に調節するという動作とを関連的に結合して連動させることができるのか、また、どのような盤面分布状態を検知し、これをいかなる盤面分布状態に改善、維持するのかという点については、右記載のみによっては全く知ることができないので、右のような抽象的な記載をもっては、何ら右課題の解決を示したものということはできない。更に、「盤面分布状態を検知」、「調節装置6と検知装置5とを関連的に結合」、「縦の傾斜角βを自動的に調節」との各記載の技術的意義もまた、公知技術や当業者の常識を踏まえても、一義的に明確に理解することは到底できない。発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないところ、甲発明はその明細書の右のような抽象的・機能的な記載のみによっては、到底その技術的範囲を定めることができないので、発明の詳細な説明の内容を参酌した上で、その具体的構成を明らかにし、技術的範囲はその内容に限定して解釈される必要がある。

甲発明の「検知装置」は、その明細書に明記されているように、比重の小なる穀物すなわち籾米の揺下側における偏流分布と盤面の縦傾斜とが密接な関係を有することに着目し、盤面上の揺下側における穀物の量を検知することによって、右傾斜角度を調節することを意図しているものである。すなわち、撰別盤1の供給側から供給される穀物は、下方に移動しながら斜上下の往復揺動を与えられることにより、徐々に玄米、混合粒、籾米に分離偏流し、排出側付近に到達してようやく揺下側に比重の小さい穀物(籾米)が偏流分布するのであるから、籾米の量を検知するためには、「検知装置」を排出側Lにおける籾米取出口あるいはその直近に設けるべきことは当然であり、もし「検知装置」を供給側Hに近い位置や供給側Hと排出側Lの中間位置に設けるならば、揺下側においても穀物は未だ玄米、混合粒、籾米に分離偏流していないから、籾米の量を検知することは不可能である。したがって、「盤面分布状態を検知し、かつ前記調節装置6に信号を送る検知装置5」とは、「盤面1の排出側での穀物の通過量を検知するために撰別盤1の籾米取出口4にのみ取付けた排出量検知装置」を意味するものと解される。

被告製品は、角度制御用センサーを一箇所に二個、すなわち、上限センサー41と下限センサー42を撰別盤1の混合粒の供給側にできるだけ近い位置に設けているので、甲発明の構成要件BないしDの具体的構成要件「盤面1の排出側での穀物の通過量を検知するために撰別盤1の籾米取出口4にのみ取付けた排出量検知装置」を充足しない。

2  被告製品は乙発明の技術的範囲に属するか。

(一) 原告会社

(1) 構成要件Aについて

構成要件Aの「供給側Hより排出側Lに向かって異種混合穀物粒が徐々に流動する」及び「粗雑面」の意味については、前記1(一)(1)に記載したとおりである。

更に、乙発明の詳細な説明(乙公報1欄三三行ないし2欄七行、一五ないし二七行)によれば、空気流に対する抵抗に差が小さく穀粒間の摩擦に差のある穀粒撰別を可能にし、また、撰別作用に目詰まりや散流を生じないで安定した撰別ができるようにするなど従来技術の欠陥を解消するために無孔としたものであるので、「無孔」とは、通風作用を有する通孔をなくすことに意義があるものであって、通風作用を有しない孔については無関係である。したがって、「無孔の撰別盤」とは、通風作用を有しない撰別盤の意味であると解すべきである。

被告製品においは、その撰別盤1の揺動状態において穀物が供給側Hから排出側Lに流動し、また、被告製品の撰別盤1は、その大部分に壺穴24が千鳥状に多数整列されていて、右の意味における粗雑面を有している。更に、被告製品の撰別盤1は、そこに設けられたごく僅かな隙間であるスリット28には全く通風作用がないので、「無孔」と同視されるべきものである。

被告製品は、その他の要件をも満たしているので、構成要件Aを充足する。

(2) 構成要件Bについて

特許請求の範囲には、撰別盤を左右方向(U-D方向)に傾斜させる旨の記載はされていないが、記載のないことから直ちに撰別盤1は左右方向に傾斜していない水平なものと結論づけることはできない。むしろ、撰別盤1が水平なものか左右方向に傾斜しているものかは問わないと理解すべきである。

被告製品は、「回転軸10を回転させ偏心輪11及び連接杆14を介して撰別盤1に往復動を与えると、撰別盤1を載置した載置枠5に対して右斜杆12及び左斜杵13が斜めに軸着されている関係上、撰別盤1は水平に対してその傾斜角度α(最小約一五度、最大約二0度の範囲内)より大きい角度βを有して左右側にすなわち揺動方向Wの方向に斜上下に往復動する」のであるから、構成要件Bを充足する。

(3) 構成要件C及びDについて

構成要件Cの「側壁」の作用は、発明の詳細な説明の記載(乙公報3欄七ないし九行、三0ないし三三行)によれば、撰別盤1が左右方向に斜上下の往復動を繰り返すことによって、下層に沈下した玄米粒は側壁3方向に揺り寄せられ、側壁3に達するとそこで揺り寄せ移動が遮断されることから、全体としては側壁3方向に隆積するが、上層に浮上した籾米はこれとは逆に反対側すなわち落粒防止用側壁4側に偏流するものと解され、被告が主張するように「側壁3に玄米流を衝突させ、この反動を利用して籾米を落粒防止用側壁4側に偏流させる」ものではない。

被告は、構成要件C及びDにおける「側壁」の作用に関し、発明の詳細な説明の「突当る」(乙公報3欄八行)との言葉を「ぶつかる」とか「衝突する」といったように物と物とが物理的な強い力によって勢いよく当たることの趣旨に理解しているが、右言葉は「進んで行く方向の道を行き尽くして、それ以上は進めない所まで来る」という意味に理解するのが素直な解釈である。

また、構成要件Dの「もって」、「その反動で」との文言及び「揺上側の側壁」の果たす作用については、撰別作用との関連において理解すべきである。そして、「その反動」とは、「比重の大なる穀物粒をH1方向に隆積」することの反動を意味し、「揺上側の側壁」に穀物が強く突き当たることの反動ではなく、「揺上側の側壁」の果たす作用については、直接的なものは混合粒の移動落下の阻止である。この直接的作用と玄米が揺上側に集められ側壁によって移動が阻止されるという撰別盤の揺動運動との相乗効果として「もって」と表現し、また、玄米の隆積の反作用として籾粒を反対側に偏流させることを「その反動で」と表現したものであって、被告の「揺上側の側壁」の果たす作用についての見解は特異なものといわざるを得ない。

したがって、別紙物件目録記載の三6の側壁は構成要件Cを充足する。また、被告製品において、撰別盤1上の混合粒は、まず、揺動作用を受けて玄米が穀粒層の下層に多く沈下し、これと反対に籾米が上層に多く浮上するようになり、次に、下層に沈下した玄米が壺穴24によって揺上側(左側U)に次第に多く分布するようになり、反対に籾米が揺下側(右側D)に多く分布するようになる。そして、排出側Lでは、左側Uの玄米取出口21から玄米が取り出され、右側Dの籾米取出口22から籾米が取り出され、未だ玄米に籾米が混入している混合粒が混合粒取出口23から取り出されるとの作用を有するのであるから、被告製品は構成要件Dを充足する。

(4) 構成要件Eについて

被告製品は、「撰別盤1が上下方向に七段重ねられて固定され」ているので、構成要件Eを充足する。

(二) 被告

(1) 構成要件Aについて

構成要件Aの「供給側Hより排出側Lに向かって異種混合穀物粒が徐々に流動する」及び「粗雑面」の意味については、前記1(二)(1)に記載したとおりである。

更に、「無孔の撰別盤1」は、一義的に明確に理解できるものであって、字義どおり「突き抜けた小さな穴が一つもない撰別盤」に限定されると解すべきであり、発明の詳細な説明の記載を斟酌することは許されない。仮にこれが許されるとしても、乙発明の詳細な説明における発明の目的、効果は、出願後の補正で新たに記載されたものであり、右補正後の記載のみを参酌して特許請求の範囲の文言の意味を理解することは、実質的に技術的範囲を変更するものとして許されない。乙発明と同様の通風装置を備えない揺動撰別機においても多孔の撰別盤を有する技術が存在したところ、出願当初の明細書には単に「撰別盤1」と記載されていたのをわざわざ「無孔の撰別盤1」と訂正したこと、及び発明の要旨を変更する補正が許されないことに照せば、前記のように解すべきことは当然のことである。

被告製品の撰別盤においては、1(二)(1)に記載したとおり、穀物は自然流動しないし、また、被告製品の撰別盤の壼穴は「粗雑面」に該当しない。更に、被告製品の撰別盤の盤面の壼穴には、その底面と境界部分にスリット28を有しており、「多孔の撰別盤」であるから、構成要件Aを充足しない。

(2) 構成要件Bについて

特許請求の範囲には左右方向(U-D方向)に傾斜させる旨の記載がないこと、乙特許の明細書の実施例第1ないし第3図には、撰別盤1が左右方向に傾斜していない水平なもののみが示されていることなどからして、乙発明の撰別盤1は左右方向(U-D方向)に傾斜していない水平なものであり、したがって、構成要件Bは、「穀物粒の前記流動方向(H-L方向)に対して左右側に斜上下の往復動を与えるもの」と解すべきである。

被告製品の撰別盤は、最大で一八度四二分、最小で一四度四三分傾斜しているのであるから、構成要件Bを充足しない。

(3) 構成要件C及びDについて

構成要件C及びDは、発明の詳細な説明の記載、出願経過、出願当時の技術水準その他を参酌すると、揺上側に設けた側壁に被撰別穀粒を衝突させ、その反動を利用するものを指すものと解される。

また、右構成要件の「揺上側に側壁」は、これに続く「もって」という記載からみて、混合粒を比重の大なるものと小なるものとに分離させるための手段の一つであることが認められるとともに、「その反動で」とは、比重の大なる穀物粒を揺上側H1方向に隆積させるための基本的構成作用である「側壁3に穀物が突当る」ことによるものであると解される。発明の詳細な説明には「撰別盤1、1の左右側のうち、一方的には、穀物が突当ることによって隆積される側壁3を設け」と記載されている(乙公報3欄七ないし九行)ことからして、この機能が撰別盤の左右方向に斜上下の往復動により、穀物が突き当たることによって隆積されることが明らかである。

これに対し、被告製品の撰別作用は、側壁を利用しないものであり、穀粒の側壁への衝突もなく、側壁付近における隆積もみられない。被告製品の揺上側の側壁は、前記機能ないし作用効果を有するものではなく、撰別盤の左右方向(U-D)方向の傾斜を利用して撰別作用を行うものであるから、被告製品は、構成要件C及びDを充足しない。

3  原告らの損害はいくらか。

(一) 原告ら

(1) 被告製品の販売台数、利益率等

被告は、昭和六0年ころから昭和六二年までの間に少なくとも二八台の被告製品を製造販売したところ、被告製品の工場出荷価格は、一台当たり一八六万四000円である。被告が甲特許権を実施して得た利益は、原告らの得べかりし利益に該当するところ、被告の利益率は、原告らの利益率と同率の一割と推定される。

(2) 損害額の算定

<1> 甲特許権侵害に関する分

被告製品における甲発明の寄与率は四0パーセントであるから、原告らの損害は次のとおりとなる。なお、原告会社が甲特許権の共有の登録をしたのは昭和六一年三月二四日であり、それ以前の被告製品の販売台数は二台、それ以後のものは二六台である。

イ 原告会社分 九六万九二八0円

一八六万四000円×二六(台)×0・一×0・四×0・五=九六万九二八0円

ロ 原告佐竹分 一一一万八四00円

(一八六万四000円×二六(台)×0・一×0・四×0・五)+(一八六万四000円×二(台)×0・一×0・4)=一一一万八四00円

<2> 乙特許権侵害に関する分 三一三万一五二0円

被告製品における乙発明の寄与率は六0パーセントであるから、原告会社の損害は次のとおりとなる。

一八六万四000円×二八(台)×0・一×0・六=三一三万一五二0円

(二) 被告

否認ないし不知。

第三  争点に対する判断

一  被告製品は甲発明の技術的範囲に属するか。

1  まず、構成要件C及びD充足性について検討するに、発明の技術的範囲を判断するに当たって基準となるのは特許請求の範囲の記載であるところ(特許法七0条)、甲発明の構成要件C及びDは、その表現が機能的・抽象的であって、いかなる方法により「盤面分布状態を検知」するのか、調節装置と検知装置を「関連的に結合」するとはいかなることであるのかという点については、特許請求の範囲の記載のみでは到底知ることができない。原告らは、実施例等の記載でその具体的な構成を十分開示しており、出願当時の周知技術に鑑みても、構成要件C及びDの文言は機能的・抽象的ではない旨主張するが、例えば、原告らの主張する「検知装置により盤面上に現われる穀物層の有無、量的な多寡の状態を感知した結果を角度調節の動力源たる正逆転モーターを作動させるに必要なオン・オフの電気信号に変えて送ること」などは、特許請求の範囲の記載からは到底把握し得ないものを発明の詳細な説明等から導き出したものといわざるを得ず、また、本件全証拠によっても、出願当時の周知技術から前記各要件が自明のものであると認めることはできないので、原告らの右主張は採用することができない。

そうすると、甲発明の技術的範囲は、特許請求の範囲のみならず、発明の詳細な説明や図面の記載、更には出願経過等を参酌して解釈するほかないことになる。

2(一)  そこで、まず、発明の詳細な説明及び図面の記載について検討するに、甲公報によれば、<1> 甲発明に係る明細書の発明の詳細な説明には、「本発明は、すでに公知となっている揺動式の撰穀装置の持つ欠点の解消を計ったものである。公知の撰穀装置においては、比重の大なる穀物を揺上側に揺り上げ、比重の小なる穀物は揺下側に偏流分布させるが、後者の比重の小なる穀物の揺下側の偏流分布は、盤面の縦傾斜と密接な関係がある。」(甲公報1欄二九ないし三四行)との記載があり、甲発明は、特に「比重の小なる穀物の揺下側の偏流分布は、盤面の縦傾斜と密接な関係がある。」との点に着目してされたものと考えられること、<2> 第3図には撰別盤1の検知装置5の一例が示されており、これについて、「検知装置5の一例を示すと籾米取出口4は揺下側L1側に設けられ、その下部には該取出口4より排出される籾米の流量に応じて上下動する検知板15が設けられる。」(同3欄二ないし一五行)との記載がされているが、これによれば、検知装置は籾米取出口より排出される比重の小なる穀物である籾米の流量を検知するものであり、その取付位置は揺下側に設けられた籾米取出口(これが排出側にあることは当然である。)の下部であること、<3> そして、右の記載に照らせば、撰別盤に供給側から供給された穀物は、斜上下の往復揺動を与えられることにより、排出側に移動しながら、徐々に玄米、混合粒、籾粒に分離偏流し、排出側付近に到達してようやく揺下側に比重の小さい籾粒が偏流分布するに至ること、以上の事実が認められる。

(二)  次に、出願経過をみると、証拠(乙一)によれば、<1> 出願時の特許請求の範囲には、「該籾米取出口(4)にのみ排出量検知装置(5)を取付ける」、「前記排出量検知装置(5)と該横傾斜調節装置(6)とを関連的に結合して籾米の排出量に応じて横傾斜αの角度を自動的に調節できる」と記載されていること、<2> 「本発明には、撰別盤1上に存在する穀物の分布状態を検知しうる検知装置5が設けられる。」(甲公報3欄二ないし四行)及び「撰別盤1の盤面の分布状態を検知しうる装置5を取付け」(同4欄二二、二三行)との技術的事項は、出願当時の明細書には記載されておらず、その後の補正により、調節するのは「横傾斜α」ではなく、「縦傾斜β」とし、合わせて、右<1>の記載をより上位概念としての「盤面分布状態を検知し」、「調整装置6と前記検知装置5とを関連的に結合して撰別盤1の縦の傾斜角βを自動的に調節しうるごとく」としたこと、以上の事実が認められ、右事実によれば、甲発明の特許請求の範囲に記載された文言は、排出量の検知という当初の開示の範囲からすれば拡大されたものではあるが、前記1で述べたようにその拡大された事項は明確なものとはいえない。

(三)  右(一)及び(二)に述べたところによれば、甲発明は、比重の小なる穀物である籾粒の揺下側の偏流分布をもとに盤面の縦傾斜角度を調節することを意図してされたものであるから、その検知装置は、撰別盤の揺下側で籾粒の流量を検知するものであるというべきであり、しかも、撰別盤の斜上下の往復揺動によって偏流分布が生ずるのは排出側においてであるから、右検知装置は、排出側に配置されることが必要であるというべきである。したがって、構成要件C及びDにおける「検知装置」は、右の取付位置及び作用効果を奏するものを意味するものと解するのが相当である。

原告らは、特許請求の範囲のどこにも「籾米の量を検知する」とは記載されていない上、「穀物分布状態を検知」するとは、穀物の有無だけに限定されるものではなく、穀物の層嵩も含むものを検知すると理解すべきである旨主張するが、右主張のように解すべき根拠に欠けるというほかない。

3  前記第二の一2の事実及び証拠(乙一四、証人須長茂夫及び平成二年四月九日実施の検証の結果)によれば、<1> 被告製品は、撰別盤の外形寸法が縦一・七五メートル、横八八センチメートルで、角度制御センサーが一箇所に二個(上限センサー及び下限センサー)設けられているところ、右センサーは、撰別盤の揺下側にあって、排出側から九二・七センチメートル及び九七・三センチメートルの位置で、いずれも撰別盤の混合粒の供給側よりの位置の二箇所に設けられており、上限センサーは盤面から一・五センチメートルの高さに、下限センサーは同じく一・〇センチメートルの高さにあること、<2> 右センサーは混合粒の層の厚みを検知する機能を有するものであること、<3> 被告製品は、撰別盤の左右方向の傾斜角度αを調節するものであるが、これは、撰別盤上の混合粒の層が均一な厚みの方が効率の良い撰別ができることから、均一な厚みが得られるようにするためであること、<4> 右センサーを供給側よりに設けた理由は、排出側に近い所に設ける場合に比して、混合粒の層の厚さの変化を速やかに検知し、迅速に的確な傾斜角度に変更できるからであること、以上の事実が認められる。

右の事実によれば、被告製品の角度制御センサーは、その取付位置が排出側ではなく供給側よりである点、及びその作用効果が、偏流分布した籾粒の流量を検知するのではなく、偏流分布する前の混合粒の層の厚さを検知するものである点において、構成要件C及びDの「検知装置」とは異なるものというべきであるから、被告製品は、甲発明の技術的範囲には属しないというべきである。

二  被告製品は乙発明の技術的範囲に属するか。

まず、構成要件A充足性について検討する。

1  乙発明は、「揺動する撰別盤を有する穀粒撰別機に関する」(乙公報1欄一八、一九行)ものであって、特許請求の範囲には、静止状態においても撰別穀粒が供給側Hから排出側Lに向けて徐々に流動するというような記載はなく、逆に、揺動運動によってなされる撰別作用に関係した記載中に、「徐々に流出し」(同3欄一二ないし一三行)、「徐々に流動し」(同3欄三三行ないし4欄一行)との記載がされていることからすると、構成要件Aの「徐々に流動する」とは、撰別機が斜上下方向に揺動運動をしている稼働下にあることを前提にしており、必ずしも静止状態時に自重で徐々に流動することが要求されているものではないと解するのが、自然かつ合理的である。

そして、証拠(被告製品の検証結果)によれば、被告製品においては、それが稼働状態にある時には、撰別盤の盤面上に供給された穀粒がほぼ一定の層をなして、排出側へ流動することが認められる。

2  乙発明における「粗雑面」は、撰別盤の上向き行程において下層に沈下した穀物粒を支持し撰別盤の動きに追随させることをその本来の機能とするものであり、したがって、これを形成する凹凸の形状も粗雑面に右機能を果たすための摩擦抵抗等を与え、かつ、撰別盤が下向き行程に復する際の穀物粒の離脱を妨げないような形状であれば足り、また、証拠(二七一二号事件の甲五)によれば、乙発明におけるような撰別盤を左右上下に往復動をさせるものにおいては、その凹凸の方向性、大きさによる格別な作用効果は顕著には現われていないと認められるので、被告製品の壺穴は、「粗雑面」に相当するものというべきである。

証拠(二七一二号事件の乙八)によれば、原告佐竹は、分割の出願である乙発明の原出願(基本発明)についての審決取消請求事件において、被告主張のような陳述をしたことが認められるが、これは、基本発明において、その撰別作用は、粗雑面の方向性、大きさを積極的に利用して行うものではないことに言及したものと考えられるのであって、右の認定判断の妨げとなるものではないというべきである。

3  「無孔」とは「孔」が「無」いことであるが、「孔」(こう、あな)とは、一般に「くぼんだ所」又は「向うまで突き抜けた所」(広辞苑)、あるいは「反対側まで突き抜けてあいている空所」(大辞林)を意味するのであるから、字義からすると、「向うまで突き抜けた穴」が「無い」ことを意味するものと解される。

原告会社は、発明の詳細な説明の記載を引いて、乙発明の「無孔」とは、「通風作用を有する通孔を設けていない」ものと理解すべきである旨主張するが、「無孔」の意味については、特許請求の範囲の記載のみによってその意義を一義的に明確に理解することができるのであるから、発明の要旨の認定は、特許請求の範囲の記載に基づいてされるべきであって、その詳細な説明等を参酌することは許されないと考えられるし(最高裁平成三年三月八日第二小法廷判決・民集四五巻三号一二三頁参照)、また、仮に発明の詳細な説明等を参酌するとしても、証拠(二七一二号事件の甲一、三、乙四、五、一五、一六)によれば、発明の詳細な説明には原告会社指摘のような記載のあることが認められるが、他方、乙発明は、当初単に「撰粒盤」とされていたものが、特許請求の範囲を減縮する訂正審判請求により、「無孔の撰粒盤」に訂正され、かつ、当初の明細書の発明の詳細な説明中の「撰粒盤には多孔壁を用いても良い。」、「撰別盤を多孔壁で構成し下方から送風して粒体に浮力を与え撰別機能を合理化する。」との記載が削除されたことが認められるのであって、この事実によれば、当初の「無孔」及び「多孔」両者を含有していた発明を訂正して、特に「無孔」のものに限定されたものということができるのであるから、このような経過をも考慮に入れると、その字義から外れてまで、「無孔」の意味を「通風作用を有する通孔を設けていない」ものと解すべき合理性を認めることはできないというべきである。

そして、被告製品の撰別盤の壺穴24は、左側U方向に面した端面25と、右側D方向に面した緩傾斜面26と、底面27とから構成されており、底面27と端面25との境界部にはスリット28が設けられているところ、スリット28の上下方向の間隙は、設計上は〇・三〇ミリメートルであるが、実際は剪断の際に生じる材料の伸びなどによって〇・一五ないし〇・二〇ミリメートルとなっているものが多いのであるが(別紙物件目録三7)、証拠(乙一三)によれば、被告製品を三〇分稼働した後、最上段の撰別盤を取り外し、裏面のビニールシートに貯まった物を回収したところ、その重量は一七・五二グラム(水分一五・二パーセント)であり、その内容物としては糠のほか籾殻の欠片や埃が多く見られたことが認められる。この事実によれば、被告製品は、スリットを有する点で乙発明とは構造において明らかに相違するし、また、右スリットにより、ある程度の糠のほか籾殻の欠片や埃が排除されるものということができるので、構成要件Aの「無孔」との構成を具備しないものというべきである。

したがって、被告製品は構成要件Aを充足しない。

三  結論

以上のとおり、被告製品は甲及び乙発明の技術的範囲に属しないので、その余の点について判断するまでもなく、原告らの本訴請求はいずれも理由がない。

(裁判長裁判官 瀬戸正義 裁判官 後藤博 裁判官 入江猛)

特許公報(一)

<31>Int.Cl2. B 07 B 1/32 <32>日本分類 3 D 412.1 <19>日本国特許庁 <11>特許出願公告

昭50-17377

特許公報 <44>公告 昭和50年(1975)6月20日

庁内整理番号 6960-21 発明の数 1

<54>揺動撰穀装置における縦傾斜自動調節装置

<21>特願 昭48-10164

<22>出願 昭48(1973)1月24日

公開 昭49-107840

<43>昭49(1974)10月14日

<72>発明者 出願人に同じ

<71>出願人 佐竹利彦

東広島市西条西本町2の38

<74>代理人 弁理士 新関和郎

<37>特許請求の範囲

1 A.撰別盤1の盤面を粗雑面となし、一方を供給側H他側を排出側しとして穀物は供給側Hから排出側Lに流動するようにし、かつ該盤1に穀物の流動方向と交差する方向の斜上下の往復揺動を与えて異種混合穀粒を分離流排出するようにした揺動撰穀装置において、

B.該撰別盤1には縦の傾斜角βを調節しうる調節装置6を収付け

C.また、前記撰別盤1には、盤面分布状態を検知し、かつ前記調節装置6に信号を送る検知装置5を設け

D.前記調節装置6と前記検知装置5とを関連的に結合して撰別盤1の縦の傾斜角βを自動的に調節しうるごとく構成した

E.揺動撰穀装置における縦傾斜自動調節装置。

発明の詳細な説明

本発明は、すでに公知となつている揺動式の撰穀装置の待つ欠点の消を計つたものである。公知の撰穀装置においては、比重の大なる穀物を揺上側に揺上げ、比重の小なる穀物は揺下側に偏流分布させるが、後者の比重の小なる穀物の揺下側の偏流分布に、盤面の縦傾斜と密接な関係がある。

ここで、本発明における揺動式撰穀装置の縦横の傾斜について定義すると次のようである。揺動式撰穀装置を万からみると、供給用タンク22を取付けた側が供給側Hで、反対側が排出側Lであり、上記HLの関係は、略同一高さかまたは図のようにα角度だけ供給側Hが高く形成され、このα角度を横の傾きと呼ぶ。そして第1図をX-X線で縦断したとき、第2図のように、揺上側H1が揺下側L1よりβ角度だけ高く形成されており、このβ角度を縦の傾きと呼ぶ、

揺動式撰穀装置は、第2図、第3図において、W矢印のように(反対も可)斜上下に往復動する。したがつて、穀物に、全体的に揺上側H1方向に寄りぎみとなり、揺下側L1方向に空白部を生ずる。これでは、撰別盤面全体を使用して能率よく撰別作用を作なうことが出来ないので、上記のように縦の傾きβを与え、第2図の矢印イ方向に穀物を偏流分布させる必要が生ずるのである。

本発明は、これを自動的に行なえるよう工夫したもので、以下例図に従つて説明すると、1は撰穀盤で、通常供給側Hが高く排出側Lが低く横にα角度傾斜して設けられ、排出側Lの揺上側H1側には玄米取出口2を、中間には混合米取出口3を、揺下側L1側には籾米取出口4をそれぞれ設け(第3図)、該撰別盤1は排出側Lの方向からみて揺上側H1が高くその反対側の揺下側L1が低くなるこう縦に傾斜βして設けられる(第2図第3図)。

しかして、撰別盤1は穀物の流下する方向(HLの方向)と交差する方向に斜め上下揺動する揺動付与機構が設けられる。その方法は任意であるが、本実施例では斜杆を利用した例を示し、撰別盤1の台板7の下面には揺動すると撰別盤1が斜め上下運動するように傾斜している支杆8、8の上端が軸止され、一方の支杆8の下端は床9上に軸止され、他方の支杆8の下端は、床9上に設けた軸10を中心として回する調節杆11の上端に軸止される。軸10には12が取付けられ、12に合う13に正逆転モーター14が取付けられる。上述の調節杆11、12、13および正逆転モーター14に、本発明の縦の傾斜角βの調節装置6の1実施例である。

しかして、本発明には、撰別盤1上に存在する穀物の分布状態を検知しうる検知装置5が設けられる。検知装置5の一例を示すと、籾米取出口4は揺下側L1側に設けられ、その下部には該収取出口4より排出される籾米の流量に応じて上下動する検知板15が設けられる。検知板15は支点20を中心として回動するテコ杆17の一端に固着され、テコ杆17の他端にはマイクロスイツチ18、18'をテコ杆17の上下動により作動する位置に配置し、検知板15の上下動に関連して該マイクロスイツチ18、18'が作動し、その信号により正逆転モーター14が正逆転るように該スイツチ18、18'と該モーター14とを関連的に結合したものである。なお、16は平衡バネ、21にエキセントリツク、22はホツパー、23は昇降磯機である。

次にその作用について説明する。

前明撰別盤1の表面は公知であるようにザラザラした流動摩擦抵抗を生ずる粗雑面である。しかして、昇降機23を利用してホツパー22を介し、該撰別盤1の供給側Hに籾米混合原料を流下させ、同時に、エキセントリツク21を回転させることにより、撰別盤1を縦の方向に揺動させれば、該盤1は斜めの支杆8、8で支持されているため、矢印W方向に斜め上下往復動する。このように撰別盤1を斜め上下の方向に激しく往復揺動させると、公知の理論によつて、籾玄米混合粒は分離されながら、排出側L方向に流動するが、このとき、撰別盤1の縦の傾斜βが第2図示のように小さ過ぎると穀物は全体的に揺上側H1方向に偏流揺上げられ、第2図のA点に空白を生ずる。

縦の傾斜βが正しい角度であれば第2図のmをもつて示した位置に籾米が分布し、第2図のm1の位置に混合米か分布し、m2の位置には玄米がそれぞれ分布するのであるが、上記のように縦の傾斜βが小さ過ぎるから、m1m2の位置に全べての穀物が分布する結果となり、第3図に示した籾米取出口4より籾米は全く排出されない。したがつて、検知板15は全く抵抗を受けないので、テコ杆17は平衡バネ16の弾力により支点20を中心として第3図時計方向に回転し、マイクロスイツチ18を作動させて正逆転モーター14を正回転させ、調節杆11を第2図仮線の方向に回わし、撰別盤1の縦の傾斜βを一強く傾け、穀粒を第2図矢印イ方向に分布させるものである。

しかして、籾米取出口4よりの籾米の排出のが規定より多くなれば、テコ杆17は、その平衡バネ16の弾力に抗して第3図において反時計方向に回動するから、マイクロスイツチ18が作動し、先程とは逆に正逆転モーター14を逆転し、調節杆を第  において反時計方向に回わし、撰別盤1の縦の傾斜βを弱くするものである。このように本発明は籾米取出口4より排出される米が少ないときはテコ杆17によりモーター14を正転させ、逆に籾米取出口4より排出される籾米のが規定より多いときに検知板15はバネ16の弾力に抗して下降するため、別のマイクロスイツチ18によりモーター14を逆転させ、撰別盤1を常に所の縦傾斜βとなるように自動的に調節するものである。

本発明は以上のごとく、撰別盤1にその縦傾斜βを調節しうる装置6と、撰別盤1の盤面の分布状態を検知しうる装置5を取付け、両者を関連的に結合したから、簡単な装置によつて撰別盤1の縦の傾きを自動的に調節しうる特徴を有する。

図面の簡単な説明

第1図は全体の側面図、第2図は第1図X-X断面の要部面図、第3図は排出側L方向よりみた正面図。

1…撰別盤、2…玄米取出口、3…混合粒収取出口、4…籾米取出口、5…撰別盤面の穀物分布の検知装置、6…縦傾斜角βの調節装置、7…台板、8…支杆、9…、10…調節杆、12、13…、14…正逆転モーター、15…検知板、16…平衡バネ、17…テコ杆、18、18'…マイクロスイツチ、20…支点、21…エキモントリツク、22…ホッパー、23…昇降機、β…縦傾斜角、α…横傾斜角、H…供給側、L…排出側、H1…揺上側、L1…揺下側、W…揺動方向、A…空白部。

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

特許公報(二) <19>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告

<12>特許公報(B1) 昭57-9872

<51>Int.Cl.3B 07 B 1/28 識別記号 庁内整理番号 6439-4D <24><44>公告 昭和57年(1982)2月23日

発明の数 1

<54>撰別機

審判 昭52-6035

<21>特願 昭49-56342

<22>出願 昭34(1959)2月3日

<52>特願 昭34-3468の分割

<72>発明者 佐竹利彦

広島県賀茂郡寺西町大字西条東687の2

<71>出願人 株式会社佐竹製作所

東京都台東区上野1丁目19番10号

<74>代理人 弁理士 稲木次之

図面の簡単な説明

第1図は正面図、第2図は側面図、第3図は撰別盤1の断面図である。

発明の詳細な説明

本発明は揺動する選別盤を有する穀粒撰別機に関する。

揺動する撰別盤を有する穀粒撰別機としては、例えば、特公昭33-7659号公報に示すように、水平に位置させた撰別盤を水平方向に揺動させると共に、板面に穀粒を片側に片寄せる作用をする揺寄せ突起を多数設け、撰別盤の揺動方向に穀粒排出部を形成したものが知られている。

しかし、このものは、揺動が、略水平方向であるため、粒相互が分離しにくく、したがつて鋭敏な撰別ができず、実事上、浮沈による穀粒の分離は不可能であり、下層部の穀粒ばかりを一方に片寄せるので悪循環が起こり、穀粒の混流を防ぐことができない欠点があつた。

また、多数の通孔を形成した撰別盤を用い、この撰別盤の下方から前記通孔を通して通風する撰別機が知られているが、このものは、通風によつて穀粒間の間隙が粗大になり、このため、穀粒間の摩擦は問題にならず、空気流に対する抵抗に差の少ない、例えば、玄米粒と砕粒等の混合粒のように空気流に対する抵抗の差が小さく、穀粒間の摩擦に差のある穀粒撰別が不可能である。さらに、このものは、風のために穀粒が散乱して整流を妨げ、却つて撰別精度が低下することがあり、また、塵芥によつて通孔に目詰まりを生じた場合には撰別盤面に風の斑流を生じ、撰別性能に著しい悪影響を及ぼす危険がある。

また、撰別性能を上げるために通孔盤を多段に重ねると、上下の撰別盤によつて空気の流れが不均一となり、したがつて撰別作用も不均一になり、これを解消するために各撰別盤の間隙を大きくすると全体の高さが過大となつて構成重量も大となり、構造が複雑になると共に揺動部の重心位置が高くなつて振動に対し不安定となる欠点がある。

本発明は前記の欠点を解消し、撰別盤を無孔とすることによつて、穀粒間の密度を大にし、その斜め上下の揺動によつて穀粒間の摩擦を利用しながら穀粒の分離をうながして撰別を行い、玄米粒に対する砕粒等の混合粒のように空気流に対する抵抗に差が小さく、穀粒間の摩擦に差のある穀粒の撰別でも可能になり、かつ撰別作用に目詰まりや散流を生じないで、安定した撰別ができ、しかも、単一無孔撰別盤では得られない撰別能力が得られると共に、各撰別盤の間隙を小さくすることができるので、全体の高さが低く振動に対する安定性があり、通風のための装置を必要としないので構造が簡単になり重量も小さくてすむ撰別機を提供することを目的とするものである。

次に本発明の実施例を説明すると、1、1は表面を無孔の粗雑面に形成した撰別盤で、多段状に重架され、一方を供給側H、反対側の他方を排出側Lとし、穀物は供給側Hから排出側Lに向う横行程に徐々に流出するように構成し、供給側Hの上方に混合粒供給タンク16を取付け、各段の撰別盤1、1に均等に穀物を供給しうるごとくなし、該撰別盤1、1は支台2上に装置するとともに支台2ごと左右側(第1図のX-X線の方向)に斜め上下の往復運動Wをなすごとく構成する。実施例は斜めの支杆12、12を用いた応用例を示し、支台2に斜めの支杆12、12の上端を軸着6し支杆12、12の下端は固定台枠13上に軸着7し、支台2の側方には支枠17を設け、支枠17に取付けた偏心輪14のロツド15の突出端を支台2に軸着する。しかして、撰別盤1、1の左右側のうち、一方側には、穀物が突当ることによつて隆積される側壁3を設け、その反対側には落粒防止用側壁4を設け、撰別盤1、1の排出側Lには穀物の過剰流出防止壁5を設け、雑粒混合穀物は前述両側壁3、4にそれぞれそつて徐々に流出し、前記防止壁5により隆積した状態のまま排出されるごとくし、排出側Lの両側方に異種粒の流出口8、8、9、9を形成し、排出側Lの中間位置には、中間粒子の流出口10を設けたものである。流出口10には防止壁5にそつて左右側に移動する壁板11を設ける。

籾米粒と玄米粒の混合粒を供給タンク16より各段の撰別盤1、1…の供給側Hに均等に供給し、偏心輪14を回転させて撰別盤1、1を揺動させると、支台2を取付けて12、12が斜めに軸着6、7されている関係上、矢印Wのごとく左右側に斜め上下動をする。したがつて、撰別盤1、1は、そのHL間を流動する穀物に対して左右方向に斜め上下の往復揺動Wをすることになる。しかして、斜め上下のあおり運動をうけた混合粒は第一次現象として比重の大なる玄米粒は下層に沈下し、比重の小なる籾粒は玄米粒の上層を浮上する。そして下層に沈下した玄米粒は、第二次現象として、側壁3方向に揺寄せられて隆積し、上層に浮上した籾粒は、その反動で反対側に偏流し、この状態を保ちながら、徐々に、排出側L方向に流動し、玄米は、第1図のE1線のごとく流動して排出される。籾粒は、逆にE3線をもつて表示したごとく揺下側に向つて集合して落粒防止用側壁4にそつて偏流する。分離されない混合中間粒E2のように排出される。

以上の説明から明らかたように、本発明は、撰別盤を無孔とすることによつて、穀粒間の密度を大にし、その斜め上下の揺動によつて穀粒間の摩擦を利用したがら穀粒の分離をうたがして撰別を行い、玄米粒に対する砕粒等の混合粒のように空気流に対する抵抗に差が小さく穀粒間の摩擦に差のある特殊た混合穀粒でも高精度の撰別ができ、かつ、撰別作用に目詰まりや散流を生ぜず、安定した撰別ができ、しかも、単一無孔撰別盤では得られない撰別能力が得られると共に、各撰別盤の間隙を小さくすることができるので、全体の高さが低く振動に対する安定性があり、通風のための装置を必要としないので、構造が簡単となつて重量も小さくてすむ撰別機を提供できるものである。

<57>特許請求の範囲

1 一方側を供給側Hとし、供給側Hに対する反対側他方を排出側Lとし、供給側Hを高く、かつ排出側Lを低く配置することにより、供給側Hより排出側Lに向つて異種混合穀物粒が徐々に流動するように構成した粗雑面よりなる無孔の撰別盤1に、穀物粒の前記流動する方向に対して左右側の方向に斜上下の往復動を与えると共にその揺上げ側に側壁を設け、もつて、撰別盤上の混合粒のうち、比重の大なる穀物粒を揺上側H1方向に隆積させ、比重の小なる穀物はその反動で反対側に偏流させて分離させるようにしたものにおいて、前記無孔の撰別盤1を複数段多段状に重架させてなる撰別機。

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

物件目録

被告の製造、販売に係わる「籾撰別機NRS-七型」の構造は次のとおりである。

一、図面の簡単な説明

第1図は全体の斜視図

第2図は一部を断面で示した全体の正面図

第3図は撰別盤の支持機構を示す要部正面図

第4図は全体の左側面図

第5図は撰別盤部分の平面図

第6図は撰別盤の盤面上の壷穴の概略を示した平面図

第7図は第6図のB-B及びC-C断面拡大図

第8図は第5図のA-A視断面図

二、符号の説明

1…撰別盤 2…右側壁 3…左側壁 4…後壁

5…載置枠 6…ピン 7…ピン 8…回動軸

9…回動軸 10…回転軸 11…偏心輪 12…右斜杆

13…左斜杆 14…連接杆 15…溝付フライホイール 16…主電動機

17…プーリー 18…ベルト 19…玄米仕切板 20…籾米仕切板

21…玄米取出口 22…籾米取出口 23…混合粒取出口 24…壷穴

25…端面 26…緩傾斜面 27…底面 28…スリット

29…平滑面 30…供給口 31…分配樋 32…台枠

33…チェーン機構 34…モーター 35…連結杆 36…螺軸

37…移動部材 38…ピン 39…腕 40…保護箱

41…上限センサー 42…下限センサー 43…制御装置

D…右側 U…左側 H…供給側 L…排出側

W…揺動方向 α…傾斜角度 β…角度 γ…傾斜角度

三、構造の説明

1 台枠32上に揺動機構と角度調節機構とを介して載置枠5が支持されており、これに上方が開放され周囲三方に壁を形成した長方形状の撰別盤1が上下方向に七段重ねられて固定されている。

2 撰別盤1の後側を供給側H、前側を排出側L、右側を右側D、左側を左側U、供給側Hから排出側Lの方向を前後方向、左側Uから右側Dの方向を左右方向とすると(第2図参照)、撰別盤1は前後方向に長い長方形を呈し、前後方向と左右方向の二方向に傾斜するように供給側Hを排出側Lより高く、かつ左側Uを右側Dより高くして配置されている。

前後方向の傾斜角度γは、約一〇度に固定されており、左右方向の傾斜角度αは、最小が約一五度、最大が約二〇度であり、この範囲内で調節可能となっている。

3 供給側Hの左方即ち撰別盤1の最も高い位置には、その上方に配置される混合粒供給タンク(図示せず)から、重架されたそれぞれの撰別盤1に混合粒を均等に供給するための分配樋31が取り付けられており、それぞれの撰別盤1に臨ませて供給口30が設けられている。

4 載置枠5の下端には、前後方向に平行且つ水平な二本のピン38が固設されており、これにそれぞれ一対の腕39の上端が固着されている。

一方、台枠32には、右斜杆12が固設された回動軸8と、螺旋部に係合させて一対の移動部材37を備えた螺軸36とが載置枠5のピン38と平行に設けられている。

そして、回動軸8の右斜杆12の上端は載置枠5の腕39の下端にピン6によって連結されており、螺軸36の移動部材37は、台枠32の上方に位置し左斜杆13が固設された回動軸9に逆ハ状の連結杆35によって連結され、さらに左斜杆13の上端は載置枠5の腕39の下端にピン7によって連結されている。

縲軸36の後側端部はチェーン機構33を介してモーター34と接続されている。

なお、右斜杆12のピン6と回動軸8とを結ぶ線は左斜杆13のピン7と回動軸9とを結ぶ線に対し平行関係にあり、ピン6と回動軸8との距離はピン7と回動軸9との距離に等しくしてある。

5 また、台枠32には、偏心輪11を備えた回転軸10が軸装されており、右斜杆12と連接杆14によって連結されている。この連接杆14は、一端部は回転軸10に偏心輪11を介して装着され他端部は右斜杆12に軸着されている。

回転軸10の前側端部には溝付フライホイール15が固着されており、これと主電動機16に付設されたプーリー17とベルト18を介して連結されている。

6 撰別盤1の周囲三方の壁は、排出側Lを全幅に亘って開放されるようにして盤面から同一高さで右側壁2、左側壁3、後壁4として形成されている。

撰別盤1の排出側Lの前側外方には、左側Uから中央部に亘って左右方向に移動調節できる玄米仕切板19が、また、右側Dの近傍で左右方向に移動調節できる籾米仕切板20がそれぞれ設けられており、玄米仕切板19の左側に玄米取出口21を、玄米仕切板19と籾米仕切板20との間に混合米取出口23を、籾米仕切板20の右側に籾米取出口22をそれぞれ形成させている。

7 撰別盤1の盤面には、その大部分に壺穴24が千鳥状に多数整列されており、供給側Hの後壁4に沿った部分には平滑面29が形成されている。

壼穴24は、左側U方向に面した端面25と、右側D方向に面した緩傾斜面26と、底面27とから構成されており、底面27と端面25との境界部にはスリット28が設けられている。

スリット28の上下方向の間隙については、設計上は〇・三〇ミリメートルとなっているが、実際のところは剪断の際に生じる材料の伸びなどによって〇・一五乃至〇・二〇ミリメートルとなっているものが多い。

8 最上段に位置する撰別盤1の右側壁2には、その前後方向の中間よりやや後側位置において後方に上限センサー41と前方に下限センサー42とが保護箱40に収納されて設けられている。

下限センサー42は、撰別盤1の盤面から略一〇ミリメートルの高さに設けられ、上限センサーは撰別盤1の盤面から略一五ミリメートルの高さに設けられている。

上限センサー41と下限センサー42は、それぞれ制御装置43に電気的に連絡されると共に、制御装置43とモーター34も電気的に連絡されている。

第1図

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第2図

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第3図

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第4図

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第5図

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第6図

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第7図

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第8図

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特許公報

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特許公報

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